連ドラ「素晴らしきかな人生」

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その昔、1993年にフジテレビの木曜劇場枠で放送されたドラマに「素晴らしきかな人生」(全12話)があります。乳がんを患ったシングルマザーの再婚と真の自立を家族愛とともに描いています。まだ携帯が一般的でない時代ですね。

主人公は浅野温子さん演じる33歳の料理学校の講師。中学生のひとり娘(ともさかりえ)と郊外の一軒家で暮らしています。彼女が娘に隠しているのは実の父親のこと。

高3の夏休みに鎌倉の海で出会った若い録音技師(田中健)と恋におちて妊娠後、彼は夢をおって海外へ。彼女を守ろうとする幼なじみの銀行員(佐藤浩市)と結婚するも、彼のたびかさなる浮気で10年後に離婚。

ある日胸のしこりに気づいて乳がんと診断されるなか、娘の新担任として赴任してきた実父の弟(織田裕二)。離婚を知って父親として名のりでてくる実父。3人の男たちが母娘と家族になろうとそれぞれにアプローチしてきて…。

男性不信から男に頼らず「自分の手で素晴らしい人生を掴んでやる」とシングルマザーになった主人公。3人の男たちは身勝手だけど父性愛があるんですね。男同士の対抗意識も…。

実父は娘が4歳の頃から、毎年誕生日に自然の音を録音したテープを海外から送っています。

別れた継父は浮気しても娘には愛情深くよい父親で、主人公が乳がんの手術をしたときは一晩中病室でつきそい復縁を考えています。

実父の弟は主人公が初恋の人で、手術で左胸を全部摘出した傷跡をみせられてもそばにいて支えることを誓います。

揺れる主人公。「ママの気持ちがいろんな男の間でブレまくっているから、うまくいかない」なんて娘に指摘されたりして。これがまた、精神的に大人で母の幸せを願っている、できた娘なんですね。ふたりのいいシーンもたくさんあります。

ネタバレすると、主人公は「徒然草」「伊勢物語」の一節を引用した、PTAの夏期講習会での公開プロポーズが決め手となって実父の弟と再婚します。

そんな彼には同棲中の彼女(富田靖子)がいて、別れる前にひと波乱、別れた後に妊娠がわかってもうひと波乱。結局留守電に宣戦布告を残して自殺してしまいます。

どん底の闇からふたりがどう立ちあがって幸せになろうとするかが、最後のほうは見どころになっています。

あらすじ的には一見ヘヴィですが、むしろ生きるエネルギーを感じさせるドラマです。

野沢尚さんの緻密な心理描写でぐいぐいと展開させる脚本を豪華キャスト陣が熱演しています。男女の偽らざる本音と含蓄あるセリフも多く、主要キャストはほぼ全員、天秤座~魚座生まれなのでこういう大人のドラマがハマるのかもしれません。井上陽水さんの艶っぽい主題歌も盛りあげてくれます。

興味をもった方は見てみてくださいね~。